記事作成日:2022年11月22日

※この体験談は、執筆者の先生ご自身の思いや感情を、できる限りそのまま表現いただき、私たちもそれを尊重いたしております。表現、用語などは誤解のないように配慮いただいておりますが、お気づきの点がありましたらご意見いただければ幸いです。

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松下記念病院 消化器内科 
濵田聖子
卒後9年目 
消化器内科医(消化器病専門医)

1現在までのキャリア

私は卒後9年目の消化器内科医師で、卒後6年目より現在の職場で勤務しています。異動した翌年に妊娠がわかり、5か月程度の産前産後休暇を経て、時間外のオンコールや宿直は免除していただきながら現在は1歳の息子の育児をしつつ仕事を続けています。

以前の職場は三次救急を担う比較的忙しい病院で、産前や妊娠中は宿直やオンコールをこなす女性医師が多いものの出産を機に退職されてしまう方が多く、育児と仕事の両立が難しい空気が当時はありました。そこで後期研修の終了と結婚が決まったタイミングが重なっていた事もあり、産後も働き続けられそうな環境である事も少し期待しつつ現在の職場へ異動しました。

2妊娠中の働き方と、職場のサポート

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妊娠がわかった後、当院は産前産後の手続きや制度一覧をまとめた社内共通のホームページがあるので、かなり読み込んでハード面の基本的な知識を得ることが出来ました。

次いで職場への報告ですが、透視検査が必要な科の場合、トラブルが多い妊娠初期から被爆による胎児への影響はあるため、非常にタイミングが悩ましいと思います。私の場合、いつ報告しようか悩んでいるうちにオンコールで緊急処置が必要となり、急遽学年の近い先輩に報告し処置を代わっていただいた心苦しい出来事があり、やはり早めに報告しておくべきだったと思っています。

業務については、産前産後休暇はとらざるをえないので妊娠期間はできる限りスキルを維持しておきたいと考えており、可能な範囲で妊娠前と同様に働きたいと上司に伝えて、透視検査については他医師に交代いただきつつ時間外のオンコール業務や当直、透視検査が必要な患者さんを含む入院主治医等についても継続させていただきました(特に時間外の透視検査を全部交代するよと言ってくださった上司には今でもとても感謝しております)。

当院は医師に限らず妊娠中の透視検査への従事が禁止されておりましたが、大腸内視鏡等のほんの数秒の透視については術者および胎児への被曝の影響はほとんどないはずであり、検査に入ってもよいのではとの思いもありましたが、正解がない事柄なので妊娠中の透視検査はダメとルール化されている事で悩む余地がなくてありがたかったです。職場の方に透視検査で負担をかけた分は、産後早く復帰して頑張ることでお返ししようと割り切って考えるようにしていました。

3最後に

時間外の処置や対応は基本的にオンコール制でオンオフがはっきりしている事、妊娠中は職場から徒歩1分の宿舎に住んでおり通勤の負担がなかった事(約一時間の車通勤をすんなり受け入れてくれた夫のおかげです)、妊娠中の体調面のトラブルがほとんどなかった事などの好条件もありましたが、妊娠中も可能な範囲で変わらず働きたいという希望がほぼ叶ったのはひとえに私の働き方に対する希望を受け入れてくれた職場のおかげです。

働き方も家庭環境も人それぞれであることは重々承知していますが、私の経験談が少しでも参考となれば幸いです。

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