私のキャリア
私の育児と仕事歴は上記です。
結婚して2年目、4年目に男児を出産、その後常勤、非常勤を経て、18年目にして常勤に戻り27年目の内科医です。
記事作成日:2025年4月2日
※この体験談は、執筆者の先生ご自身の思いや感情を、できる限りそのまま表現いただき、私たちもそれを尊重いたしております。表現、用語などは誤解のないように配慮いただいておりますが、お気づきの点がありましたらご意見いただければ幸いです。
私の育児と仕事歴は上記です。
結婚して2年目、4年目に男児を出産、その後常勤、非常勤を経て、18年目にして常勤に戻り27年目の内科医です。
私は結婚して数年以内に妊娠もしたいと思っていたため、修練医を終わり大学に残るためには当時ほとんどの人が大学院に行くところを、教授に相談して研究生として研究させていただくことになりました。
上司のかなりの援助のお陰で学位を取得し、市中病院の常勤としての勤務が始まりました。
学位を取得した時のお祝い会をその当時の医局員でしていただいた時に、教授がこれからは専門医の時代だよと言っておられたことが、今でも記憶に残っています。私はその時、学位を取ったばかりなのにまた専門医だなんて何を言っておられるのだろうと思っていましたが、その言葉は後に大きな意味があると感じました。
内科医として勤務した市中病院の勤務は外来、検査、入院と普通の常勤で、夜間呼び出しはさほど多くありませんでしたが、その時は夫も仕事の帰りが遅く、実母に手伝ってもらっていました。子供が保育園に通っている時は仕事を終え迎えに行き、帰宅後も慌ただしい時間が過ぎました。子供がかわいいと思う気持ちで頑張れましたが、結構体力勝負の時期だったと思います。
保育園時代は6時までに帰ればよかったのですが、子供が小学校になると帰りが早くなり、その当時の私は子供が帰ってくるときは家にいてあげたいという思いが強かったため、その当時の教授に相談して長男が小学校に入学すると同時に常勤から非常勤に変更しました。非常勤の勤務として外来業務のみでやっていくにはどうしたらよいかと考え、非常勤になる前に専門医を取得しようと考え直前に糖尿病専門医を取得しました。
その後、いつまで、非常勤勤務で許されるか心配はしていましたが、現在もお世話になっている教授が、毎年希望をきいていただき、出来る範囲のことでやってくれたらいいとのことで、細々とでも週3日の外来勤務で9年間も継続することが出来ました。
もし、途中で常勤になっていたら、子育てが十分でなくなってしまって後悔していたかもしれませんし、少ない勤務日数でしか仕事をしていない私に対して、居心地が悪い雰囲気の医局だったなら仕事を中断していたかもしれないので、私は恵まれた環境にいたなあと今でもつくづく感謝しています。
長年医師として勤務している中で、私は2年間仕事を休んでいた時期があります。いずれも子供を出産後1年間です。その産休明けは仕事をしたいという欲望とはうらはらに、1年間中断していた間に今までしていた普通の仕事をする時もぎこちなくなってしまい、異次元の所にやってきたような感覚になっていました。1ヶ月もすると元の感覚に戻るのですが、非常勤であってもその後仕事を継続していなければ、医療の進歩についていけなかったかもしれません。
非常勤をしていく中で、勤務先の院長にそろそろ常勤にならないかとすすめられ、その場合は指導医を取得して、その専門科の認定教育施設維持をしてほしいと言われました。
教授と相談し、後押しをしていただき、長男が高校生になりそろそろ自主性にまかせられると考え(子供からみたらうるさい親がいない方が、よっぽどいいのかもしれません。)、市中病院の常勤になりました。
ただ、子供の大学受験もあり、食事や健康面でのサポートはまだまだしたいと考え、週4.5日の当直なし、夜診なしの病棟は併診のみで主治医でないというかなり考慮していただいた勤務体制でした。私の場合は両親も医師で、子育てをしながら勤務していた母の姿を見ていたので、仕事を続けることは当たり前でした。ただし、まさか自分が常勤に復活するとは思っていませんでした。
ちなみに、夫は遠方に通勤していたこともあり、帰りが遅かったため、洗濯は時々手伝ってくれていましたが、家のことはほぼ任されていました。私の実家が比較的近くにあったため、子供達のことを私と実家に一任されていたのは、かえってよかったのではと今となれば思います。
今から振り返ると、常勤に戻れたのは、様々な各医局員の希望を暖かく見守ってくださった大学の教授、医局の先生方のお陰だと思います。
子育て、病気、介護など様々な環境の変化がありますが、そこで諦めてしまったり仕事をやめてしまったりすることなく相談できる環境は大切だと感じています。続けているとキャリアも積めますし、かなり楽しいやりがいのある仕事です。
現在の私の所属する大学の医局は、子育てをしながらでも、各個人の希望に合わせた勤務が出来るように支援していただけるため、病院や医局選びも重要だと思います。また、自分の専門性を生かした仕事につくにはある程度の資格もとっておかれると、何かの役に立ちます。資格を取得する時期は、子育ての大変な時期にも重なり、かなり体力を要しますが、私は子供の受験の時、一緒にがんばろうねと言って乗り越えた記憶があります。
専門医を取っていなければ、指導医として今の病院に勤務する機会もなかったため、今になってつくづくとよかったと思っています。
非常勤時代は私の場合外来診療のみをしていたため、他の医師と会話をする機会が極端に減り、今、他の先生方がどういう状態なのかも知らず、また現在の他科の医療情勢についても情報がなかったのですが、常勤になったことによって、適宜情報交換が出来るようになったことは、良かった点だと思います。
また、外来でみた患者さんにその後何か変わったことがなかったか次の外来まで不安でしたが、1か所での勤務日が多い分、その不安も解消されます。
それ以上に、様々な医師、スタッフと共同で仕事が出来るというやりがいが大きいです。具体的には、共に学会や勉強会に参加したり、当科のことで言えば教育入院のメニューや外来のシステムを考えたり、新規の機器や採用薬を導入したりなど、したいと思うことが次々と実現していくのが楽しいです。
また、金銭面では、保険や年金でのメリットや有休休暇、ボーナスなどもあり助かります。子育てにおいても非常勤では代理がたちにくいため、休みを取りにくかったのですが、常勤になるとお互いに相談してまとまった休みも取れるようになり、学校行事などの参加に関しても融通がきくことがわかりました。また、現在の職場では、男女問わず様々な勤務体制の医師がいます。同年代の女性医師でも、当直、病棟主治医、夜診もされている方もいらっしゃいます。大学病院にいた頃の上司も多く、かなり居心地がいいため、同じ科の若手の先生と協力して、楽しく過ごしております。自分が思いのままに過ごさせていただいた事に感謝し、これからは若い先生方に少しでも手助けが出来ればと思っております。
これから育児される先生も、ぜひ理解者である上司に恵まれ、楽しく仕事を続けていかれることを祈っております。