記事作成日:2022年11月22日

※この体験談は、執筆者の先生ご自身の思いや感情を、できる限りそのまま表現いただき、私たちもそれを尊重いたしております。表現、用語などは誤解のないように配慮いただいておりますが、お気づきの点がありましたらご意見いただければ幸いです。

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京都府立医科大学 内分泌・糖尿病・代謝内科 教授 福井道明
卒後33年目 専門:内科学、糖尿病学、内分泌代謝内科学、抗加齢医学、栄養学

1自己紹介

現在京都府立医科大学医学部附属病院に勤務しており、日本糖尿病学会・日本内分泌学会の専門医、指導医、(学術)評議員を務めております。また日本病態栄養学会・日本抗加齢医学会の(学術)評議員も務めております。妻一人、子二人、数年前までは愛犬も一匹いました。私の家系に医師はおりませんが、大好きだった祖父が膵臓癌で亡くなり、その後医師を目指しました。

大学を卒業しまず内科に入局し、内科全般の研修を受けました。研修医の頃は採血や点滴など手技が得意でどちらかというと消化器内科を専攻する予定でしたが、5年目で大学院に入学する際、大変雰囲気の良かった糖尿病内科を専攻することになりました。大学院卒業後は関連病院で修練を積み平成16年に助教として大学に戻りました(もう少し臨床に没頭したかったというのが本音です(笑))。大学院卒業後も関連病院で論文を書き続けていたことを評価していただいたようです(ほとんど趣味で書いていただけでしたが(笑))。講師、准教授を経て、平成27年より内分泌・代謝内科学の教授に就任しております。数年間医局長も務めており、人事にも携わり女性にとっても、男性にとっても働きやすい環境を作ることの重要性を強く感じました。

趣味はゴルフ(スコアは90台で停滞しています)、城巡り、お寺巡りなどいろいろあります。出張先に城があればほぼほぼ行っていますし、高野山、永平寺などは毎年行っています(一度修行をしてみたいと思っています)。お酒が好きでしばしば部下と飲みに行っています(喜んでついてきてくれていると信じています(笑))。

2医局のマネジメント

厚生労働省の調査結果において、全医師数に占める女性医師の割合は増加傾向にあり、2割強を占めます。また、近年医学部入学者に占める女性の割合は約3分の1となっており、今後女性医師の割合は増えていくと予想されます。しかしながら、女性特有のイベントによる医師12年目をボトムとした就業率低下及び復職までの期間が長いM字カーブは我が国の特徴であり、国を挙げて取り組むべき課題と考えます。

当教室では、性別問わず、個々の特性を生かせる柔軟な働き方の構築、支え合える体制作り、キャリア形成への支援に注力しています。妊娠、子育て等、状況、時期に応じた就業継続のための工夫を相談しつつ、柔軟な働き方(常勤、非常勤、時短勤務、日当直の有無等)を選択できることが重要と考えます。

(早期)復職を考えた場合には、やはり多様な働き方が必要となります。大学であれば、フューチャーステップ研究員制度(※)の利用や特定病院助教として雇用することで比較的柔軟な働き方が可能となります。関連病院では時短勤務制度が適応される場合があります。また代理体制を整えることも、仕事と家庭の両立において重要です。大学では、出番や外勤の曜日代理を決め、急な変更時の対応を行っています。

コロナ禍においては、関連病院で人員不足となることもあり、大学からの派遣を行っています。更には、臨床は勿論、研究においても、チーム制で取り組むことにより、全ての研究員が臨床及び様々な研究に携われる機会が得られると考えます。

具体的には、研究を一部分ずつ、曜日で担当して進めることにより、無理なく1つの研究テーマを進捗させることができます。キャリア形成に対しては現在目下取り組み中ですが、関連病院との相談・連携により、子育て中の女性医師を常勤医師として派遣しています。産休中の代理として医局から非常勤医師を派遣したり、幼い子供がいる女性医師に対しては、勤務先に当直免除の配慮を打診したり、保育園の送り迎えの時刻を考慮した勤務地を提案する等、子育てをしながらも常勤として働き続けられるよう配慮をしています。研究室員皆の希望に添えるよう配慮したいと考えていますが、医局員全員の希望、真意を十分に把握できていない可能性もあり、解決すべき課題です。

「一人の力は偉大である 連帯の力は無限である」:教授になって仲間の一人一人が大切なことを痛感しています。個々の力を最大限に引き出し、連帯として強大な力にすべく、性別問わず、皆が働きやすい社会を作っていく必要があると考えます。

リチャードカールソン著・小沢瑞穂訳の「小さいことにくよくよするな!」という本は素晴らしいと思います。その中でも「人のためになにかをする」「ありがとうを言う」「謙虚になる」「人の幸せを願う」という節は共感できるし、皆がそんな気持ちになれば本当に幸せな社会になると思います。特に最後の「今日が人生最後の日だと思って暮らそう」という節はすばらしい。一日一日を大切に生きること、そうすれば充実した日々をおくれるのではないでしょうか。

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(※)京都府立医科大学WLB支援センターでは病児保育園、院内保育園、時短勤務であるフューチャーステップ研究員制度、育児中の女性医師の研究をサポートする研究補助員制度、テレビ会議システム、文献オンラインシステムなど、多くの支援制度を導入しています。最前線で活躍できる人生の最も輝く時期を一個人として自らの能力を最大限に発揮し、全うできるよう、若い世代の希望と夢の実現を目指しています。

3終わりに

最後になりましたが、我々の教室のモットーは PETCT-THRAS(ペットシーティー・スゥラスで覚えて下さい) です。

〈PETCT-THRAS〉

P: positive 何事も前向きに考える
E: enjoyable 楽しんで仕事をする
T: thankful 何事にも感謝
C: confident 自分の行っていることに自信を持って行う
T: tolerant 何事にも寛容の心をもって対応する
T: thoughtful おもいやりの心を持つ
H: healthy 心身ともに健康で
R: respectful 何事にも尊敬の念をもつ
A: authentic 自分らしく、自分ができることをする
S: smiley いつも笑顔で 苦しい時こそ笑顔で 作り笑顔でも良い

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