業務内容: 外来 手術 分娩対応 当直・オンコール
8時半出勤 20時~23時退勤
教科書的にはつわりが落ち着いて色々なことができるようになるころ、とされているが私の場合は20週ごろまでは比較的強い吐き気があった。徐々につわりは改善傾向にあったものの、特に朝は電車を乗り換えて通勤することがつらい日が多かった。各停車駅ごとにトイレの位置を把握して、ビニール袋をカバンの中に入れて移動していた。
- ・いつでも吐けるよう、通勤時には各駅のトイレの位置を知っておく
- ・ビニール袋がカバンに入っているという安心感がある
- ・電車の中では目を閉じて心を無にする
- ・つわり中のたべもの 都こんぶ もずく トマト 魚肉ソーセージ(日によって違う)
手術に入るときは必ず直前に水分を取り、血圧が下がらないように心掛けた。しかしどれだけ気合を入れて臨んでも、圧倒的に妊娠前より術中に体調が悪くなりやすい(特に助手をしている際)状態だったので、すぐ座ることができるよう、つらくなったら椅子の準備を手術室NSに頼んだ。
当初は申し訳ない、情けないという思いがあったが、患者の安全が第一優先であり、徐々に遠慮はなくなった。そのうち私が術者として手洗いする時には背後にルーチンで椅子がセッティングされるようになった。具体的には、嘔気を感じてしばらくすると、だんだん額に脂汗が出て生あくびがとまらずオペに集中できなくなるような感じだった。低血圧が影響したと予想するが幸い失神したことはない。
困ったのは後輩と手術している時である。後輩は私の指導のもと手術操作をしているので、私がフラフラしていては全くオペが進まない。特に休日に後輩と二人で手術しているときなどは、申し訳ないが一旦手術を中止して座り、私の調子が戻ってから再開していた。麻酔科もNSも、もちろん後輩も心配こそすれ嫌な顔をする人はいなかったのでありがたかった。ただこの環境はかなり無理があるため、後輩には同じ思いをさせたくないというのが正直なところだ。
患者さんの移乗などもずいぶんとNSが配慮してくれたように思う。予定手術症例や緊急手術も多く比較的厳しい環境の手術室ではあるが、様々な局面でNSに助けられた。
- ・手術では手洗い前に必ず水分補給
- ・つらくなってきたら辛抱せずに早めに座る(その方が結果として患者さんの不利益が少ない)
- ・後輩と手術する時はバックアップ体制があるとありがたい
産まれた子供を育てるにあたって引越しする必要があったため20週の土日で引越しを予定した。この頃には吐き気がほとんどなくなっており、やや胎動も感じるようになったので嬉しさもあり元気になってきた。が、日々仕事をすることに精一杯で夫と自分の荷物を整理し梱包する時間も体力もなかったのでこれは引越し業者の梱包サービスを利用した。実家の母に助けを求める選択肢もあったが、コロナ大流行中であったのでやめておいた。
- ・引越しは20週ごろ
- ・梱包サービスの利用がおすすめ
25週のある日、3時間程度の手術(自分が執刀)を終えて後輩と閉腹している際に非常に強い腹痛を感じた。座ったら治るかと座ってみたがずっと痛い。常位胎盤早期剥離だったらどうしよう、子供は大丈夫かと考えて恐ろしくなった。幸い平日の日中だったので閉腹のためだけに上司を呼び手術を終えてもらった。
術衣を脱ぎ触るとお腹が非常に硬くなっておりどうも子宮が強く収縮している印象であった。病棟の空いているベッドで転がっていたところ、助産師がホットパックを持ってきてくれたので温めたら治った。幸い超音波検査では問題なかった。冬であったこともあり冷えが原因だったようで、その後はかならず腹巻をするようになった。骨盤ベルトも仕事中はつけることにした。
- ・冷えて立ちっぱなしだと子宮が収縮することがある
- ・冬は腹巻と骨盤ベルトを巻く
25-27週は重症の患者さんを担当することが多かった。全身管理のため頻回に訪室しなければならないが、患者さんが発熱していたので病院のコロナ感染対策にのっとりフルPPE(N95+サージカルマスク ガウン 帽子など)を一日に何度も着脱した。ただでさえお腹が出てきて苦しいのにN95はつらかった。ただコロナに感染して重症化するよりましと考え耐えた。感染の可能性のある患者さんへの訪室は必要最小限とし、可能な限りナースコールなどを利用して患者さんとコミュニケーションをとった。
- ・妊婦にN95はきつい。
- ・ナースコールは便利 患者さんを孤独にしない工夫の一つとなりえる。
- (そばには行けないけれど、離れたところからしっかり見つめていますよと伝える)