記事作成日:2024年2月1日

※この体験談は、執筆者の先生ご自身の思いや感情を、できる限りそのまま表現いただき、私たちもそれを尊重いたしております。表現、用語などは誤解のないように配慮いただいておりますが、お気づきの点がありましたらご意見いただければ幸いです。

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京都府立医科大学附属病院 
内分泌・糖尿病・代謝内科 品川 夏子
卒後6年目 
2歳の双子の母、実家は関東

1これまでの経歴、現在の勤務形態

初期研修終了時に結婚し、卒後3年目(内科専門医1年目)に妊娠・出産、卒後4年目の1年間は育休を取得。現在は卒後5年目で大学勤務をしております。当直は免除頂いており、平日はフルタイム勤務・オンコールありです。

2育児休業の取得について

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① 職場の反応は?取得期間はどのように決めた?

私が所属する科は女性医師が多いため出産・子育てに非常に理解があり、育休を取得しやすい環境でした。とは言っても1年間もの育休をお願いするのはさすがに気が引けましたが、思い切って相談したところすぐに許可を頂けました。さらに私の場合は初めての子育てが双子であり忙しくなることが目に見えていたため、人員の多い大学に復職できるように出産前から上司が取り計らって下さいました。実際、その配慮はとても大きかったです。

② 育休取得のメリット/デメリット

メリット:初めての育児で子どもの成長を間近でみられたあの時間は本当に貴重なものでした。あんなに育児だけに没頭できた時間はありませんでした。子どもを連れて関東の実家にも度々帰省することができ親孝行にもなったと思います。
デメリット:デメリットというほどのものは正直なかったと思います。あえて挙げるとするなら、臨床現場を長期間離れて大丈夫だろうか、という不安に陥ることがしばしばありました。

③ 育休中どのように過ごしていたか

もともと料理や手芸をするのが好きなため、育児本を読んで子どもの離乳食を手作りし、たくさん冷凍したり、子どものよだれかけや寝巻きをミシンで制作したりしていました。天気のいい日には近所の公園までよくお散歩にも行きました。

④ 職場復帰して実際にどうだったか

今でも忘れませんが、復帰初日がなんと外勤日でした!必死の思いで外来に臨んだのをはっきりと覚えています。おまけに大学に戻ると自分は医師5年目として紹介され、気づくと自分の下には3年目の先生がついている・・。初めのうちは知識のアップデートに必死で、加えて育児と仕事の両立で私生活もバタバタ、毎日疲労感でいっぱいでした。ですがやってみて思うのが、いつか必ず「慣れる」そして「要領をつかめる」ということです。毎日疲れて保育園に迎えに行っても、「ママ!」と言いながら子どもが笑顔で走り寄ってくれる姿をみると「また頑張ろう!」と思えます。私の毎日はその繰り返しですね(笑顔)。

3育休取得前に確認しておくべきこと

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① 雇用形態について

育休中の雇用形態については事前に把握するべきだと思います。例えば私のような専攻医の場合、大学では非常勤扱いのため育児休業中は「無給」となります。

② 内科専門医制度について(内科を目指す先生方へ)

内科専門医取得期間中に6か月以上の休業を取得した場合は専門医取得年次が1年繰り下げられます。その場合、医師5年目までに課されている症例登録160症例・病歴要約29症例の登録期間も繰り下げられます。一見すると時間的余裕があるように思えますが、私の経験では妊娠中は悪阻で思うように進まず、出産後は子どもがいるため自宅で進めるのはほぼ不可能であり勤務の空き時間を駆使している状態です…。余裕があるうちに早め早めに進めておくことをお勧めします。

③ 男性育休取得について

私の夫は同学年で消化器内科をしております。夫も育休取得を検討しましたが、ちょうど関連病院への半年間の出向期間でした(内科専門医制度では最低半年以上の関連病院勤務が課されています)。
実は男性の育休取得については令和3年に法改正され内容は改良されましたが、夫のような半年間という短期の勤務では男性育休の取得は認められません。私たちのように専攻医で第一子を持つケースは多いと思いますが、この時期は1〜2年という短いスパンで病院を転々とすることが多く、この点でほとんどが男性育休取得の対象外になると思われます。
ですが、これはあくまでも私の持論ですが、生まれて間もない頃に父親が数週間のお休みを取得するより、毎日定時に帰宅し子どものお風呂を手伝える、とか、子どもの急な発熱で親のどちらかが仕事を休まなくてはならないときに柔軟に休みを取得できる、といった長期的に父親が子育てに関与できる仕組みの方が母親としてはよっぽど助かります。
初めての育児ならなおさら手探りではありますが、夫婦二人三脚で頑張りたいものですね(多少の喧嘩はつきものです)。

4育休取得を悩んでいる方へ

科によって育休の取りやすさは大きく異なると思います。取得をしないとしても産後の数か月は体力的にしんどいものです。時短勤務を取り入れるなど、無理なく頑張れる環境を目指しましょう。どんな時もかわいい我が子が一番の味方になって応援してくれますよ。

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